土木工学において,計算力学による力学現象の解明を真の意味で実現するためには,解析・評価対象の特殊性を考慮して計算理論および手法・技術をさらに進歩向上させ,実用化を念頭に置いた新しい計算力学への移行が必要不可欠である.特に,社会基盤構造物の力学挙動の解析に加え,地震・津波・洪水等の自然災害に対する被害予測に際しては,土木工学分野に特有の力学現象の空間的および時間的規模の大きさ,材料挙動を的確に計算モデルに反映させることが必須であることから,これらに特化した計算力学手法の発展・新展開の推進が必要であるといえる.このような背景と認識のもと,土木工学が直面する複雑な力学問題の解決のために,注目すべき計算力学手法の研究動向について広範に調査を行なった.