日本補綴歯科学会誌
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◆シリーズ:補綴装置および歯の延命のために Part 4 -歯周組織の炎症-
歯周治療とEBM
古市 保志
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2015 年 7 巻 1 号 p. 18-27

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抄録
 歯科医学および歯科治療学においてEBM(Evidence Based Medicine) あるいはEBD(Evidence Based Dentistry) の概念が提唱されて久しい.1965年に歯周病が歯肉辺縁部歯面に付着したプラークであることがヒトにおける実験的歯肉炎によって証明されて以来,歯周病学および歯周治療学について様々な科学的データが蓄積され,それに伴い歯周治療は急速な発展を遂げた.まず,1970年代に,プラークコントロールを基本とする歯周治療の科学的な根拠が提示され,歯周基本治療および歯周外科を中心とする修正期歯周治療の内容が確立された.それに続き1980年代から2000年にかけて,GTR法およびエナメルマトリクス蛋白の応用などの歯周組織再生療法が開発され,世界各国の研究機関でその有用性について検証が行われた後,多くの国で臨床応用に至っている.また,歯周組織の長期的な安定を保つには,歯科補綴的な介入が不可欠であり,その科学的な根拠も示されている.ここでは,現在一般的に行われている歯周治療の科学的な根拠を提示すると共に,それらの歯周治療の実践によって長期的保存の予知性が低い歯でも保存可能であったことを報告した論文を提示する.
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© 2015 社団法人日本補綴歯科学会
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