2014 年 70 巻 2 号 p. I_317-I_328
本研究は,塑性変形を呈する複合材料のエネルギー吸収性能最大化を目的としたトポロジー最適化問題を設定し,それを解くために必要な感度導出法の精度について検証するものである.一般に弾塑性材料を対象にトポロジー最適化を適用するためには高精度な感度の導出が必要不可欠となる.しかし,応力-ひずみ関係に見られる降伏点ならびに荷重除荷点のいわゆる微分不可能な箇所近傍では感度を精度よく求めることが困難となる.そこで,著者らは既往の研究1)で等方性弾塑性材料を対象として,力のつり合い式を満たす応力を忠実に微分する感度導出法を提案し,降伏点近傍においても高精度の感度が得られることを示した.本論文は,その発展として幾度も荷重載荷ー除荷状態を繰り返す塑性変形状態を想定し,そのような状況下において提案手法がどの程度の精度を保持できるかを検証するものである.