2015 年 71 巻 2 号 p. I_419-I_427
地震時の堤防の液状化や越流による破堤の対策として堤防基礎地盤に設置される透水性鋼矢板の透水孔付近を対象に,浸透による内部浸食の進展過程について,実験的・数値解析的に調べた.数値解析では,浸透流によって浸食された細粒土は間隙水に取り込まれ,間隙流体としてふるまうと仮定し,その連続条件から得られる間隙流体中の細粒土濃度に関する移流方程式を解いた.本解析によって模型実験で観察された透水孔付近での細粒土の流出を概ね再現することができたが,実験で発生した細粒土による目詰まりについては,用いた浸食モデルでは,一旦間隙流体に取り込まれた細粒土が動水勾配低下時に再堆積する現象を考慮していないため,再現できなかった.