2015 年 71 巻 2 号 p. I_795-I_803
近年,疲労き裂の簡易な補修法の一つとして,炭素繊維強化樹脂成形板の接着が注目されており,国内外で実鋼構造物に発生した疲労き裂の補修へ試験的に施工されている.炭素繊維強化樹脂成形板の接着によるき裂の進展抑制効果は,応力拡大係数によって評価できる.本研究では,片側の貫通き裂を有する鋼板の全面に両面からCFRP板を接着した場合のき裂進展遅延効果を明らかにするために,引張疲労試験を行った.さらに,CFRP板を接着した場合の応力拡大係数を有限要素解析で評価し,線形破壊力学に基づいて定式化した.最後に,応力拡大係数の理論式を用いてき裂進展解析を行い,疲労試験の結果を評価した.