2016 年 72 巻 1 号 p. 58-69
本研究では,津波解析から得られる情報を効率的に利用して確率論的津波ハザード評価を達成する手法を提案する.この手法は,津波解析の結果に基づき評価する対象事象の応答曲面を作成する特徴を有する.また,津波解析に関する不確実性を定量化する.これにより,高度な津波解析の結果に基づくモンテカルロシミュレーションの実施を可能としている.適用例では,一部の断層パラメータおよび津波解析手法のモデル化誤差の不確実性を定量化し,東北地方太平洋沖地震時の仙台・石巻・釜石における最大津波高さの確率密度分布を評価した.その結果,提案する手法が確率論的津波ハザード評価に対して有効であることを確認した.