抄録
斜面崩壊の発生には雨水の浸透が大きく影響するため,現地斜面における土壌水分特性の把握は重要である.近年,土中の水分量を現地計測するシステムが盛んに開発されており,それらの計測結果に基づく土壌水分特性の逆解析が着目されている.本研究では,現地計測結果に基づいて,高精度かつ短時間に土壌水分特性パラメータの確率分布を求めることができる手法の把握を目的として,粒子フィルタの3つの異なるアルゴリズムを用いたデータ同化をそれぞれ実施した.そして,同定された粒子の分布を用いたシミュレーションを通じて,現地計測結果に対する再現性を比較した.その結果,各ステップにおけるシミュレーションの実施回数を省略するアルゴリズムであるSIR_omitは,高精度かつ短時間でのデータ同化が可能であることが明らかとなった.