抄録
断層を有する花崗岩体のモデル構築にあたり,三次元的な水理物性値分布を推定するために逆解析が実施されることがある.不均質な岩盤を対象とした逆解析を実施する際,断層などの形状を適切に表現し,また多数の未知パラメータ扱うことから生じる不適切性に対応する必要がある.そこで筆者らは断層のモデル化を適切に行うため有限要素法を用いた逆解析プログラムを開発した.さらに不適切性の問題に対してノルム最小法により適切化を図った.作成したプログラムを用いて現地で取得された揚水試験データによる三次元有限要素逆解析を実施した.その結果,断層形状に関する先験情報に即した推定結果を得ることができ,有限要素法におけるノルム最小法の有効性について示された.