抄録
メタンハイドレートを含む海底地層は,岩盤,間隙流体,ハイドレートによって構成される三相体として考えることができる.本論文では,この様な三相体の力学モデルとして知られている凍結した多孔質体を対象に,面外波動解析のための境界要素法を提案する.提案手法は,陰的Runge-Kutta法に基づく演算子積分法を援用した時間領域境界要素法であり,凍結した多孔質体の内部に存在する介在物による入射波の散乱問題への適用を想定している.数値解析例では,氷飽和度が母材と異なる介在物に対して入射波の散乱解析を行い,S2波がこの様な介在物を探査する上で重要な役割を果たすことを確認した.