抄録
蓄積が進んでいる大量の観測データの有効活用方法は重要なテーマであり,近年スパースモデリングの考え方が多くの分野で注目されている.逆問題における非適切性への対処法のひとつと解釈することができ,医療用MRIなど様々な分野でその適用例が報告されている.スパースモデリングの基本的な考え方,定式化を簡単な例題を交えて示した後に,土木工学分野での適用例として,山留めの変位に関する観測情報から山留めに作用する土圧を推定する逆問題を示した.仮定するスパース性に応じて特徴の異なる土圧の分布が推定されている.適用性に関するさらなる検討は必要であるが土木工学の様々な問題に対してもスパースモデリングの考え方は有効であろう.