2018 年 74 巻 2 号 p. I_337-I_347
溶接部の疲労強度向上のため付加溶接やピーニング処理などが行われ,その効果は実験的に明らかにされている.一方,時間やコストの制約からその検証には限界がある.特に,溶接時の入熱量や姿勢,ねらい位置等の溶接プロセス条件によって溶接ビード形状は大きく変化するため,それぞれの要因が疲労寿命に与える影響は明らかになっているとは言い難い.そこで本研究では,近年開発が進められている溶接プロセスを模擬可能な溶融池形成解析と疲労荷重に伴う局所的な弾塑性応答を予測可能な非線形FEM解析の両者を用いて付加溶接プロセス条件が継手の疲労寿命に与える影響を評価した.具体的には溶融池形成解析から得られるビード形状および熱履歴を反映した繰返し弾塑性解析を行い,得られた結果を用いて疲労き裂発生寿命を評価することにより,付加溶接条件との関係を考察した.