2018 年 74 巻 2 号 p. I_493-I_500
鋼構造物構成要素のうち,雨洗効果の小さい鋼管内面での海塩付着量分布に対する数値流体解析による推定を検討した.特に,既往の観測が指摘する付着量の端部への集中現象への再現と発生過程の解明を目的とした.海塩付着量に呼応する流体力学的パラメータとして壁面せん断応力の挙動について,外部から内部への気流侵入とともに形成される分布性状を精査した.Launder-SharmaモデルとそれにKato-Launder補正を加えた2種類の低Re型k-εモデルの比較を行った.流入側円管端部近傍での乱流エネルギの過大評価を改良しているKato-Launder補正の妥当性を把握した後,付着量の端部への集中をもたらす流体力学的素過程が助走域における境界層の乱流遷移やはく離域の形成に伴う局所的な増速であることを明らかにした.