2018 年 74 巻 2 号 p. I_627-I_638
断層変位の評価手法として連続体力学に基づく数値解析がある.著者らはそれを行うための並列有限要素法解析プログラムの開発を行ってきた.本稿では,この解析プログラムを用いて,2014年長野県北部地震で発生した地表地震断層を対象としたシミュレーションを実施した結果を示す.副断層が発生した地表地震断層北端部を含む5km×5km×1kmの領域をモデル化し,底面に地殻変動の逆解析に基づく強制変位を与えた.入力ずれ変位の増加とともに,主断層および副断層にずれ変位が発生し,その大きさは観測結果と概ね整合した.また,副断層近傍での主断層のずれ変位分布が副断層での地表ずれ変位発生に大きく影響することがわかった.