2018 年 74 巻 2 号 p. I_639-I_647
CFRPは軽量にして高剛性・高強度を有する複合材料であるが,その挙動は脆性的であり線形挙動の後に突然の局所的な破壊を生じる.本研究では生体に見られるらせん積層構造を模倣することで脆性挙動の改善を検討した.一方向炭素繊維プリプレグを積層する際に層間の配向角度差を設けることでらせん積層を構成した供試体を作製した.三点および四点曲げ載荷実験を行い,直交積層と比較して,曲げ挙動と損傷・破壊挙動を詳細に観察した.曲げ挙動においては,第一ピーク荷重を経て荷重降下した後の荷重保持が大きくなり,前後のエネルギー吸収量の比が大きくなることを確認した.特徴的な損傷・破壊挙動により,総じて局所的な損傷・破壊は起きにくくなり,損傷深さも小さくなっていることを確認した.