2019 年 75 巻 2 号 p. I_379-I_388
平成24年7月の九州北部豪雨による矢部川堤防の決壊は,高透水性の基礎地盤における局所的なパイピングをきっかけとして発生し,“越流なき破堤” として大きな衝撃を与えた.平成25年7月に発生した子吉川堤防の法すべりと梯川堤防の法崩れも,高透水性の基礎地盤に起因する被災と考えられている.本論文では,高透水性基礎地盤を有する河川堤防の浸透破壊メカニズム解明を目指し,空気~水~土骨格連成有限変形解析コードを用いて,透水模型実験の数値シミュレーションを実施した.その結果,実験において浸透破壊した場合としなかった場合の違いを表現できることを示した.また,本解析コードを用いてケーススタディを実施するとともに,土骨格の弾塑性構成モデルにサクションの効果を考慮することによる浸透破壊挙動への影響についても考察した.