2019 年 75 巻 2 号 p. I_371-I_378
自然斜面,盛土や堤防などの安全性照査に用いられる既往の安定解析手法における地下水位より上にある不飽和土領域の間隙水圧の取り扱いについて議論する.本論文では,極限平衡法の一つである無限斜面法において不飽和土中の浸透力と圧力水頭差による体積力を考慮した体積力法および不飽和土中の負の間隙水圧を考慮した水圧法をそれぞれ提案した.特に,水圧法における負の間隙水圧の合力の計算において,間隙水圧が作用する面積について検討し,提案手法の安全率に与える影響を考察した.その結果,極限平衡法において不飽和土中の間隙水圧の影響を考慮する場合,水圧法と体積力法で結果が異なり,不飽和土中の間隙水圧が作用する面積が影響を及ぼしていることがわかった.