2019 年 75 巻 2 号 p. I_433-I_444
降雨等により斜面表層土が飽和状態に至る前の不飽和状態で小規模な崩壊が発生することがあり,その土砂流入を防ぐために斜面法尻に待受け対策工が設置される場合がある.経済的な対策工を選定するためには,不飽和土の斜面流下および衝撃力発生メカニズムを解明する必要があり,本研究では,実験だけでなく数値解析を併用してこのメカニズムを解明することを目指している.
本稿では,不飽和土の斜面流下および衝突挙動に対する粘着力による再付着を考慮した簡易付着モデルを導入した DEM 解析の適用性について検討し,衝撃実験で得られた崩土の条件と最大衝撃力との関係を概ね再現できることを示した.また,実物大を想定した数値実験を実施し,先行して壁面に堆積する崩土が後続する崩土の衝撃に対して緩衝材のような役割を果たす可能性を示した.