2019 年 75 巻 2 号 p. I_647-I_657
本研究では交通荷重を受ける道路橋における振動モード同定の効率化を目的とし,ベイズ推論を応用した特徴抽出手法を開発する.提案手法では振動特性推定の不確実性を定量化することで,推定結果から簡易的に構造系に特有の振動モードを選定するための評価基準を導出する.振動特性の不確実性の評価においては多変量自己回帰モデルのパラメータにベイズ推論を適用したうえで,得られたパラメータの事後分布を伝達関数の極の事後分布のばらつきに変換する.提案手法の有効性を検討するため道路橋における交通振動データを用いて振動モード同定を行う.上記検討の結果,抽出された13の振動モードのうち6つについては既往研究における結果と一致することが確認された.また,残りのうち6つについては振動モード形状の妥当性から既往研究で確認されない未知の振動モードである可能性が示唆された.