2019 年 75 巻 2 号 p. I_635-I_646
鉄道のバラスト軌道には浮きまくらぎが散見され,まくらぎの支持状態は必ずしも均一ではない.この浮きまくらぎは管理上さまざまな問題を生じさせる.その一つにロングレール軌道における夏期の軌道座屈がある.浮きまくらぎは,座屈抵抗力である道床横抵抗力を減少させ,軌道の座屈安定性を低下させる.しかし,浮きまくらぎの実態調査は十分でなく,その具体的影響は明らかではなかった.
本研究では,まず,営業線におけるロングレール軌道の浮きまくらぎの実態を把握した.その結果をもとに軌道座屈解析ツールを用いて,まくらぎ支持状態に起因する座屈発生温度への影響を明らかにした.加えて,道床横抵抗力の分布状況と座屈発生温度の関係に着目し,道床横抵抗力のひずみエネルギーの値から座屈発生温度を推定できる可能性について示した.