2020 年 76 巻 2 号 p. I_279-I_288
近年,多発している大規模な地震に伴う液状化によって多くの戸建住宅で深刻な被害が発生している.ここで,液状化被害の中でも構造物が傾斜する場合には構造物自体にも重大な損傷が発生するため,構造物が沈下する場合より被害はさらに深刻になる.そこで,本稿では接地圧が偏心し,傾斜被害が発生しやすい模型構造物を対象にした重力場での二次元模型実験や水~土骨格連成有限変形解析から浮き型格子状地盤改良による液状化被害の抑制効果について検討した.検討の結果,側方流動を抑制することを目的とした浮き型格子状地盤改良により,偏心荷重が作用した構造物においても液状化時における沈下被害を大きく抑制可能であることが分かった.一方で,浮き型格子状地盤改良で得られる傾斜被害抑制効果は沈下被害抑制効果ほど大きくないことが確認された.