2020 年 76 巻 2 号 p. I_289-I_300
本研究は,鋼製透過型砂防堰堤で使用されているフランジ継手付き鋼管はりについて,礫の衝突位置の違いによる耐荷性能を解析的に検討したものである.まず,先行実験の再現解析を行い,本解析手法の妥当性を検証した.次に,フランジ継手付き両端固定鋼管はりを対象に,礫の衝突位置の違いが耐荷性能に及ぼす影響を,静的および動的(礫衝突)弾塑性解析を行い検討した.その結果,継手に礫が直撃する場合では礫の衝突エネルギーを変形で吸収できないため,継手下部のボルトが多数破断することによってエネルギーが消散された.一方,継手間の鋼管に礫が衝突する場合では鋼管のへこみ変形によって衝突エネルギーが吸収されるため,引張側となる継手上端のボルトに僅かな損傷が生じた.よって,継手に礫が直撃する場合のほうがより危険側であることがわかった.