2020 年 76 巻 2 号 p. I_359-I_367
ひずみ空間多重せん断モデルは,任意方向の仮想単純せん断機構の重ね合せに基づいて,粒状体の力学的挙動を表現する.本稿では,粒状体が有する初期構造異方性を考慮できるよう拡張されたひずみ空間多重せん断モデルを用いて,粒状体の巨視的な応力ひずみの変化により発生する誘導異方性構造の形成過程に及ぼす初期構造異方性の影響について考察した.個別要素法(DEM)を用いた既往の二軸せん断シミュレーション結果との比較から,初期構造異方性を考慮することにより,DEM シミュレーションにより得られた粒状体の誘導ファブリック,すなわち接触力の法線成分および接線成分の進展を同モデルにより適切に表現できることが明らかとなった.