2021 年 77 巻 2 号 p. I_543-I_550
高度な安全性が要求される球形ガスホルダーは,大規模地震により基礎に不等沈下が生じた場合であっても余震時に供給機能を保持できることが望ましく,地震後の使用可否判断に資する,最大余震を想定した傾斜ガスホルダーの耐震性評価手法が必要である.その評価では支持構造部の材料・幾何学的非線形性や非線形ダンパーを考慮しなければならず,3 次元解析による詳細な評価は地震発生後短期間で実施することは現実的でない.このため本論文では Pushover 解析から非線形ばね特性を反映した 1 質点ばねモデル計算を用いた簡易な評価手法を提案した.本手法は,実機を対象にした 3 次元骨組モデルの動的応答との比較から最大応答値までは良い一致を示し,それ以降は安全側に応答値を算出するため,ホルダーの余震耐震性を評価できることを明らかにした.