土木学会論文集A2(応用力学)
Online ISSN : 2185-4661
ISSN-L : 2185-4661
和文論文
二重正弦波起振法による橋梁の剛性推定
深川 容三江本 久雄
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 78 巻 1 号 p. 23-31

詳細
抄録

 老朽化した橋梁を効率よく点検するため,点検箇所スクリーニングの研究が行われている.その多くは比較可能な損傷前の実験データが必要であり,質量などの慣性特性は変化しないことを前提にする.そのため,実際に利用できる範囲は限られ,十分な推定精度を示した報告も見当たらない.そこで,起振実験でありながら静変形実験と等価なデータを得る二重正弦波起振法を考案した.本研究では,実橋梁をばね質点系でモデル化し,考えられる悪条件を考慮した数値実験を行い,そこで得たデータから各部の剛性を高精度に推定した.剛性値の集合内で顕著に剛性の低い部分を見出せれば,そこが損傷箇所であると考えられるため,損傷箇所同定と損傷の危険度評価が可能であり,損傷前の実験データも慣性特性の前提も不要であるので,利用範囲も限定されない.

著者関連情報
© 2022 公益社団法人 土木学会
前の記事
feedback
Top