抄録
流域圏の都市化が著しい東京湾に対し,2002年および1947年から1974年までの期間の平均的な海水の滞留時間を求めて比較した.1947年から1974年までの塩分には,既往の研究で整理された塩分を用いた.2002年の塩分には,2002年に月2回の頻度で湾内27地点において実施された観測値を用いた.1947年から1974年までおよび2002年の淡水流入量は,降水量および流域外からの導水量を用いて求めた.その結果,2002年の内湾の海水の滞留時間は,年平均:31日,夏期:19日,冬期:43日だった.一方,1947 年から1974年までの期間の平均的な内湾の海水の滞留時間は,年平均:48日,夏期:28日,冬期:79日だった.