洪水を予測するうえで,降雨の空間分布をどの程度の分解能で流出計算に反映するべきかを検討する.降雨がどこに位置するかを陽に取り扱うことなく,下流端での洪水流出を再現できる最大の流域面積を基準面積と定義し,分布型流出モデルを用いたシミュレーションによりその大きさを決定する.基準面積に影響する要素として,降雨・流域特性の空間分布,河道網の効果に着目し,それらの要素と基準面積との関係を明らかにする.淀川流域を対象とした分析の結果,流域面積が150 km2 から1,500 km2 の範囲では,基準面積は流域面積に関わらず絶対的な大きさで決まり,河道網の効果が主にその大きさを規定していることが分かった.また,ピーク流量の許容誤差を5%とすると基準面積は200 km2 になることが分かった.