抄録
沿岸部の帯水層では,不確定な水理地質構造のために,淡水と塩水の挙動が複雑であることが知られている.近年,栄養塩を含む海底地下水湧出などへの関心から,水文地質学者や海洋環境研究者らによって淡・塩水地下水の研究が注目されている.
本論文は,地球化学的および水理地質学的な研究を同時に行う必要性から,その第一歩として地下水の水質変化に影響を与え,酸化還元反応に寄与する鉄に着目し,その化学反応を含んだ物質輸送モデルを開発し,鉛直一次元カラムおよび断面二次元帯水層による室内実験によってその有用性を確かめたものである.特に二次元浸透層による実験では,淡水-塩水の混合域に沿って二価鉄イオンの酸化による沈殿が観測され,本論文で提案した鉄に関係する化学種による輸送解析モデルによって鉄沈殿物の生成状況が再現された.