2006 年 62 巻 2 号 p. 429-439
黄鉄鉱の酸化反応による地盤の酸性化は,土質特性を大きく変化させ,場合によっては法面崩壊などの地盤災害を引き起こす原因にもなる.そこで本研究は,黄鉄鉱を有する粘性土試料を段階的に酸性化させ,一連の室内実験を実施し,黄鉄鉱の酸化に伴う地盤の酸性化が変形・強度特性,コンシステンシー限界にどのような影響を及ぼすのかを明らかにした.また,非活性で知られるカオリンに濃度の異なる硫酸を加え,同様の試験を行い,硫酸による酸性化が土質特性に及ぼす影響についても把握した.さらに,実際に崩壊した酸性土地盤からなる切土法面について安定解析を行い,地盤が中性から強酸性に至るまでの間に法面の安定性がどの程度失われるのかについても検討した.