土木学会論文集C
Online ISSN : 1880-604X
ISSN-L : 1880-604X
和文論文
トンネル施工に伴うゆるみ域の定量化に関する研究
谷本 親伯津坂 仁和御手洗 良夫
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 62 巻 2 号 p. 440-456

詳細
抄録

 トンネル施工の大原則は,掘削に伴うゆるみを極力抑え,地山のアーチ作用を積極的に利用することである.本論文では,この「地山のアーチ作用」は地山の非弾性挙動に起因するものと考え,トンネル掘削に伴うゆるみ域の発達を定量的に評価した.第三紀の頁岩・砂岩地山に施工されたトンネルを対象とし,70例ほどの変位計測結果に基づいて初期変形速度と断面変形率の関係および発達する非弾性域を算出した.そして,その結果と理論解析を用いて,切羽の進行やインバートの断面閉合によるゆるみ域の発達の違いを考察した.その結果,大きな初期挙動の地山では掘削直後においてゆるみ域が過度に発達し,最終的に大きな変形が生じてしまったと考えられた.また,掘削直後のインバートによる断面の閉合がゆるみの発達を大きく抑制するという結論を得た.

著者関連情報
© 2006 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top