抄録
氷点下における間隙水の挙動に着目し,数種の岩石について,氷点下を含む温度範囲で実施した一軸圧縮・圧裂引張試験,凍結融解試験,凍上試験でみられた力学的特性の変化や変形挙動を分析した.稲田花崗岩を除く3種の堆積岩での強度増加,凝灰岩における間隙氷生成時の不凍水圧上昇に起因する破砕,白浜砂岩および幌延珪藻質泥岩の氷晶分離凍結に伴う破断とアイスレンズの生成に伴う凍上などが確認された.また,常温と比較した氷点下での強度増加割合と,比表面積・不凍水含有率との間に相関関係があることを見出すと共に,凍結に伴う強度増加のメカニズムについて考察した.