土木学会論文集C
Online ISSN : 1880-604X
ISSN-L : 1880-604X
63 巻, 1 号
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招待論文
和文論文
  • 池田 清宏, 山川 優樹, 森田 耕平, 堀本 壮亮, 尾崎 利行
    2007 年 63 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/19
    ジャーナル フリー
     近年の自然災害の増加や電力自由化に伴い,送電鉄塔基礎の設計合理化に対する社会的要求が高まっている.複雑な地形・地質に配置され,多様な外力を受ける鉄塔基礎の安全性を検討するには,高精度の変形解析手法の導入が望ましい.しかしながら,汎用性を兼ね備えた数値解析ツールは皆無に等しいのが現状である.そこで本研究では,有限変形理論と陰解法応力積分アルゴリズムに基づく高精度・高効率の弾塑性有限要素解析手法を鉄塔基礎の引揚挙動解析に適用し,本手法の適用性ならびに基礎-地盤連成系の挙動について考察する.本研究の解析により,ひずみ局所化等に代表される地盤の変形特性や地盤傾斜角の影響を把握することができ,地盤の進行的な破壊挙動を考慮に入れた支持力評価に対する数値解析手法の適用性の一端を示すことができた.
  • 津野 究, 森本 亘, 伊藤 和也, 村田 修, 日下部 治
    2007 年 63 巻 1 号 p. 13-23
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/19
    ジャーナル フリー
     本研究では,模型トンネルに内蔵した小型起振機を用いて加振することにより,遠心場で地下鉄の列車走行時振動を模擬できる実験方法を構築した.そして,遠心模型実験を実施して地中部および地表部の振動加速度を測定することにより,振動の周波数特性や地中部における振動加速度の分布など,地盤中の振動伝播性状を把握した.また,Bornitzの計算式を用いて内部減衰定数αを計算し,遠心加速度が15G~62.5Gではαの値がほぼ同じであり,70Hz以下の周波数域においては東京およびその近郊の14地点で実施した現場測定の結果と概ね対応していることを確認した.さらに,模型地盤内に模型杭を設置し,トンネルに近接する建物の杭を伝わる振動について,伝播性状を把握した.
  • 小玉 齊明, 藤井 義明, 赤川 敏, 石島 洋二
    2007 年 63 巻 1 号 p. 24-33
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/19
    ジャーナル フリー
     氷点下における間隙水の挙動に着目し,数種の岩石について,氷点下を含む温度範囲で実施した一軸圧縮・圧裂引張試験,凍結融解試験,凍上試験でみられた力学的特性の変化や変形挙動を分析した.稲田花崗岩を除く3種の堆積岩での強度増加,凝灰岩における間隙氷生成時の不凍水圧上昇に起因する破砕,白浜砂岩および幌延珪藻質泥岩の氷晶分離凍結に伴う破断とアイスレンズの生成に伴う凍上などが確認された.また,常温と比較した氷点下での強度増加割合と,比表面積・不凍水含有率との間に相関関係があることを見出すと共に,凍結に伴う強度増加のメカニズムについて考察した.
  • 日置 和昭, 青木 一男
    2007 年 63 巻 1 号 p. 34-46
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/19
    ジャーナル フリー
     本論文では,様々な砂質系試料を対象にNaCl水溶液を用いたカラム試験を実施し,試験仕様や評価方法,さらには地盤条件が地盤環境パラメータに及ぼす影響について逆問題的考察を行った.その結果,1)細粒分含有率が多い試料では有効間隙率に動水勾配依存性が認められ,また陽イオン交換容量が大きい試料では有効間隙率に電解質濃度依存性が認められること,2)細粒分含有率が多い試料では縦分散長が既往の文献値よりもかなり大きい値を示すこと,3)カラム試験においてペクレ数を40程度以上確保できれば,簡易算定式を用いても十分な精度で地盤環境パラメータを同定できること,などが明らかとなった.
  • 田仲 正弘, 菊山 清児, 町島 祐一, 石田 毅
    2007 年 63 巻 1 号 p. 47-58
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/19
    ジャーナル フリー
     光ファイバドップラセンサ(以下FOD センサと呼ぶ)はレーザドップラ変調を利用して振動を測定する新しい原理のセンサである.このセンサは薄型軽量で可撓性に富んでおり,測定周波数帯域が広く,電磁気ノイズの影響を受けないなどの特徴を有している.さらに腐食に対する抵抗力や耐久性に富み,信号の長距離伝送も可能である.そこでこのセンサの岩盤工学分野への適用性を検討するため,アルミ製試験片にFODセンサを貼付け,低周波の繰り返し荷重を載荷してセンサの測定原理の確認を行った.またPZT型AEセンサを発振に用いて,高周波領域における感度および周波数特性を調べた.さらに花崗岩の一軸圧縮試験で発生するAEを両者のセンサで測定して比較したので,これらの結果について報告する.
  • 吉川 直孝, 中田 幸男, 兵動 正幸, 村田 秀一, 西尾 伸也
    2007 年 63 巻 1 号 p. 59-71
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/19
    ジャーナル フリー
     本研究では,2種類の画像取得方法を用いて,三軸供試体表面を三次元計測し,表面形状の変形過程を追跡する方法を開発した.画像の取得方法は,8台のデジタルカメラを使用する8カメラ法と,1台のカメラを用い供試体を回転させ8方向からの画像を取得する供試体回転法である.いずれの方法においても3次元座標の計測精度は,0.05mmであることが確認された.圧密排水三軸試験において計測された供試体表面の3次元座標からせん断層を抽出できること,推定されるせん断層の間隙比の変化を評価した結果,豊浦砂のせん断層の間隙比は,残留状態に至る過程で最大間隙比以上となることが認められた.加えて,まさ土のせん断層はその幅を狭めながらせん断が進行することを明らかにした.
  • 宮田 喜壽, 重久 伸一, 奥田 聖章
    2007 年 63 巻 1 号 p. 72-80
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/19
    ジャーナル フリー
     本文ではジオグリッドを配置した固化土の引張抵抗挙動をシミュレートするための解析法を提案する.提案する解析法は,粒状離散化手法を用いた有限要素法に,固化土と補強材に対するモデルを新しく導入したものである.固化材の添加量や拘束圧の影響を調べた室内試験の結果がシミュレートされた.提案法はジオグリッドによる固化土の引張抵抗の脆性改善効果の評価に対して適用性を有することを示す.
  • 川村 志麻, 三浦 清一, 横浜 勝司
    2007 年 63 巻 1 号 p. 81-92
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/19
    ジャーナル フリー
     繰返し力を受ける異方性砂地盤の変形特性を調べるために,二次元平面ひずみ模型土槽と種々の荷重を載荷可能な装置を用いた一連の実験が行われた.得られた結果から,構造物に正弦波的な繰返し力が作用し,ロッキングを生じるような場合では,繰返し力によって変化する最大主応力方向αと地盤の堆積方向βとのなす角ψ(=|β-α|)がある値(本試験の豊浦砂では約40°)に最も近い堆積方向に,構造物は沈下-傾斜することが明らかにされている.また,繰返しに伴う変形の卓越方向を支配する要因が詳細に検討されている.
  • 阿部 慶太, JOHANSSON Jörgen, 小長井 一男
    2007 年 63 巻 1 号 p. 93-109
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/19
    ジャーナル フリー
     地震,豪雨時に発生する地すべりの中でも高速長距離土砂流動は,運動速度が速く移動距離が大きくなり,多くの人命損失,資産破壊をもたらす.この種の地すべり災害の防止に向けては,地すべりの災害抑止防止対策工,発生予測技術の開発とともに地すべり災害の危険箇所の把握が重要である.そこで,地すべりの挙動および運動範囲の予測に向けMPM(Material Point Method)による数値解析手法を検討した.
     弾性体の滑動解析,乾燥砂の流動解析を行いMPMの流動解析に対する適用性を検討するとともに,St.Venant式をMPMで離散化して2次元平面で3次元の流動を解析可能な数値解析手法を提案した.そして,弾性体の滑動解析,乾燥砂および高速長距離土砂流動の流動解析を行い,提案手法の有効性を確認した.
  • 矢野 隆夫, 大西 有三, 西山 哲
    2007 年 63 巻 1 号 p. 110-124
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/19
    ジャーナル フリー
     岩盤の透水特性は不連続面に大きく支配される.したがって岩盤を対象とした土木構造物を建設する場合は周辺岩盤に存在する不連続面の力学・透水特性を適切に把握することが重要となる.そこで本研究では岩盤に存在する不連続面の力学・透水特性を解明するため,人工的に作製した供試体を用いてせん断透水試験を行った.せん断時の垂直方向の拘束形式としては垂直剛性一定試験を採用しており,基本的なパラメータである垂直剛性Kv,不連続面表面形状などが透水特性に与える影響について考察した.その結果,岩盤不連続面の透水特性はせん断過程において大きく変化し,それは不連続面の空隙構造に大きな影響を受けていること,また力学的な挙動と関係していることを示した.
  • 冨澤 幸一, 三浦 清一
    2007 年 63 巻 1 号 p. 125-139
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
     火山灰地盤に施工される杭基礎は,一般に砂質土における施工基準を準用して設計されている.しかし,火山灰土は破砕性の性質など,砂質土とは力学特性を異にする.そこで,火山灰地盤における杭の支持力および変形特性を確認するため,実杭を用いた14件の鉛直載荷試験および2件の水平載荷試験を実施した.さらに,同現場で静的コーン貫入試験を行った.その結果,杭の周面摩擦力度 f は火山灰土のうち火砕流堆積物では砂質土に比べて低減する傾向が確認された.コーン先端抵抗値 qt は杭の周面摩擦力度 f と一定の相関が認められた.また,火山灰地盤の杭の水平地盤反力係数 k は,杭変位量 y の増加と伴に比較的大きく発現し,場所打ち杭で k/k0 (k0:基準水平地盤反力係数) = y-0.5,打込み鋼管杭で k/k0 = y-0.3 の関係を示した.
  • 鳥居 宣之, 沖村 孝, 加藤 正司
    2007 年 63 巻 1 号 p. 140-149
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
     兵庫県南部地震後の降雨により発生した崩壊地の多くは,地震時に地震動の影響を受けたにもかかわらず崩壊には至らなかった斜面が,その後の降雨の影響を受けて崩壊したものであった.本研究では,地震後の降雨により発生した斜面崩壊地に地震動が及ぼす影響として土の強度特性に着目し,一面せん断試験機ならびに繰返し三軸圧縮試験機を用いた実験的検討を行い,地震後の降雨による斜面崩壊発生メカニズムの考察を行った.その結果,繰返し荷重載荷ならびに水浸に伴う飽和度上昇により,土の粘着力が低下することが分かった.このことから,崩壊メカニズムとしては,地震動による土粒子間の骨格構造の破壊に伴う粘着力の低下と,その後の降雨による飽和度の上昇に伴う見かけの粘着力の低下により,せん断強度が大きく低下したことが考えられる.
  • 上原 真一
    2007 年 63 巻 1 号 p. 150-162
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
     長野県大鹿村の中央構造線断層沿いに見られる断層岩とその原岩について,室温・乾燥条件のもと,静水圧および三軸変形条件下での窒素ガス浸透率測定試験を行い,地下深部での本断層帯の浸透特性について検討した.静水圧条件での試験では,有効拘束圧が180MPa以下では,断層中心部の断層ガウジ等の未固結断層岩は一般に10-13~10-17m2の浸透率を示し,その周辺の岩石に比べ2桁以上大きな浸透率を示した.断層帯中心部に分布する黒色砂質断層ガウジと領家カタクレーサイトについて三軸変形条件で測定したところ,どちらも変形に伴い浸透率が劇的に変化し,またその変化の様子は両者で大きく異なることが示された.以上の結果から,本断層の浸透率分布は不均質で異方性があり,また断層活動に伴って時間変化しうることが示唆された.
  • 長谷川 琢磨, 田中 靖治, 西垣 誠
    2007 年 63 巻 1 号 p. 163-173
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
     地下水の流動に寄与する有効間隙率や地下水の流れの次元を評価することは,地盤中の物質移行の評価において重要である.このため,地盤中に水よりも粘性の高い流体を注入し,その際の圧力と流量の関係から,有効間隙率や流れの次元を単孔で評価できる新しい試験方法を提案した.この試験方法の基礎となる理論式を,定流量注入と定圧注入の試験条件について,任意の流れの次元に対して誘導した.理論式の変数を無次元化した標準曲線を用いて,高粘性流体注入試験の圧力と流量の経時変化から,図解法により,流れの次元,有効間隙率を推定する方法を示した.
  • 長谷川 憲孝, 田中 泰雄, 高橋 嘉樹, 南部 光広, 野並 賢
    2007 年 63 巻 1 号 p. 174-187
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,神戸空港島埋立土の物理・力学特性を把握するため,埋立土として用いられた岩砕材料と礫質土に対して実施した,各種室内試験結果をとりまとめている.原位置での埋立状況を想定し,浸水や粒子破砕による高密度化を考慮した最大,最小密度を設定し,原位置の相対密度に揃えて試験を実施した.その結果,今回の試料の細粒分含有率の範囲では,細粒分含有率が増加すると乾燥密度は大きくなる傾向が見られ,取り得る密度幅の小さいことが確認された.一方,液状化強度は小さくなる傾向を示した.せん断抵抗角は試料の違いに拘わらず37°以上の良好な値を示した.
  • 鷲見 武富, 八嶋 厚, 沢田 和秀, 森口 周二, 小嶋 正樹
    2007 年 63 巻 1 号 p. 188-206
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
     膨大な数の道路斜面を維持管理し,崩壊対策を効率的に進めていく上で,斜面の安定性を予備的・概略的に評価する手法が求められている.特に,きれつ性岩盤斜面では,岩盤条件によって崩壊形態が変化するが,これらを統一的かつ簡易に評価できる手法は少ない.そこで本論文では,複数の崩壊形態に対応したきれつ性岩盤斜面の簡易な安定性評価手法を提案する.提案手法は以下の特徴を持つ.1)くさび型ブロックと三角錐ブロックを評価単位とする.2)岩盤ブロックのすべりと落下および転倒を評価対象とする.3)安定解析は極限平衡論に基づく.4)きれつ面のすべり摩擦角と粘着力および引張り強度を考慮できる.5)外力として水圧と地震力を考慮できる.6)安定性評価条件を簡単なベクトル式で表現している.
  • 中田 隆文, 三浦 清一
    2007 年 63 巻 1 号 p. 224-236
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,圧密・せん断による火山灰質粗粒土の粒子破砕の要因を検討するために,構成粒子内の間隙を定量的に評価し,粒子破砕による間隙構造の変化を調べている.ここでは特に,火山灰質粗粒土の間隙比の定量化のために間隙比測定試験を実施するとともに,破砕性の異なる2種類の火山灰質粗粒土に対して行った一連の三軸試験から,クリープ挙動と粒子破砕のかかわりを解明することをめざした.その結果,火山灰土の構成粒子内には開口した内間隙(開口内間隙)と閉塞した内間隙(閉塞内間隙)が存在し,このような粒子内の間隙比の大小がクリープ特性に密接な関係があることを示した.なお粒子破砕特性は,主にクリープ開始時の開口内間隙比に支配されるものの,クリープ載荷中では閉塞内間隙比の確実な減少が認められた.
  • 渡部 要一, 三枝 弘幸, 植田 智幸, 土田 孝, 御手洗 義夫, 新舎 博
    2007 年 63 巻 1 号 p. 237-248
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/20
    ジャーナル フリー
     近年,軽量化によりもたらされる高い付加価値に期待して,気泡混合処理土は沿岸域工事での施工実績を着実に伸ばしている.しかしながら,気泡混合処理土は不適切な現場環境の下では劣化が進行し,甚大な損傷を受ける可能性も有している.本研究では,気泡混合処理土が沿岸域での工事において,本格的に利用された初期の代表事例である神戸港ポートアイランドおよび東京国際空港の護岸工事を取り上げ,劣化の有無を把握するために,打設から約10年間にわたり実施してきた一連の追跡調査結果を取りまとめた.当該事例の気泡混合処理土は沿岸域の実際の現場環境の下で,10年経過した今日でも安定した材料特性が維持されており,かつ,特段の劣化兆候も見られないことを確認し,土木材料として十分な長期耐久性を有していることを実証した.
  • 中村 晋, 澤田 純男, 吉田 望
    2007 年 63 巻 1 号 p. 269-284
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/20
    ジャーナル フリー
     本論では,地盤内の材料強度の深度方向分布,さらに地震動の増幅を考慮した簡易な斜面や盛土の永久変形解析の提案を行った.提案手法は,多層構造を有する地盤へ適用できるように対数らせんの組み合わせによる複合すべり面をすべり面形状とし,地震動の増幅を考慮して臨界すべり面と降伏震度係数を評価する手法と地震動の増幅を考慮したNewmark法を組み合わせた方法である.Newmark法は,すべり土塊の剛体仮定が成り立つ範囲内でエネルギー保存則が成り立つこと明らかにした.また,2003年宮城県北部地震により被災した鳴瀬川木間塚周辺の河川堤防の法面崩壊の分析に提案手法を適用した結果,法面崩壊がすべり土塊の変形として評価できることが明らかとなった.
  • 妙中 真治, 大谷 順, 佐藤 宇紘
    2007 年 63 巻 1 号 p. 285-298
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/20
    ジャーナル フリー
     鋼矢板はこれまで河川・港湾などの護岸構造および仮設土留め壁などでの利用が主であった.近年では,仮設本設兼用などの発想を始めとして様々な構造物への適用開発が行われている.これらの適用範囲は多岐にわたり,その中では鋼矢板を従来とおり土留め壁として利用するに留まらず,更に鉛直荷重に対する支持力も要求されることがある.しかし現状,鋼矢板の支持力についての研究は十分になされていない.
     本研究では,1)原位置鉛直載荷試験により鋼矢板の有する大きな支持力を実証し,更に2)模型載荷実験を行うとともにX線CTスキャナを用いて地盤内挙動を可視化することで鋼矢板の支持力特性を評価した.その結果,鋼矢板の形状とその支持力特性に関する重要な知見を得たので,これを報告する.
  • 西垣 誠, 小松 満
    2007 年 63 巻 1 号 p. 299-311
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,廃棄物処分場の底部遮水材として用いられるベントナイト混合土に対して,原位置における施工直後の透水係数を迅速に測定する試験方法の提案を目的とした.具体的には,既存の原位置透水試験法であるAir Entry Permeameterにピンポイントでの計測が可能な水分センサーを組み込んだ方法である.結果として,ベントナイトの混合量が適切で分布が均一な場合の粘土ライナーに対して8%塩水を用いて10-7(m/s)オーダーの透塩水係数を10分程度で測定できた.また,別途鉛直一次元浸潤試験を実施し,供試体内の水分分布や圧力分布を測定することにより本試験方法の妥当性の検証を行った結果について論述する.本研究成果により,廃棄物処分場の施工の効率化とより厳密な品質管理が可能となる.
和文報告
  • 田中 幸久, 中村 邦彦, 工藤 康二, 廣永 道彦, 仲神 元順, 庭瀬 一仁, 小松 進一
    2007 年 63 巻 1 号 p. 207-223
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
     放射性廃棄物の埋設処分に用いるベントナイト系人工バリアの施工時の目標透水係数は,種々の劣化に加えて地盤内の不均一性などを考慮し,性能評価上要求される値より小さく設定される可能性がある.一方,ベントナイト地盤内の不均一性が透水係数に及ぼす影響は,本来,地盤全体の透水係数より評価するべきであるが,従来は,地盤内の各点の透水係数の頻度分布をもって評価していた.そこで,本論文では,現場締固め施工によるベントナイト地盤から採取した試料の密度や透水性のデータをもとに,地盤統計学手法により地盤内の透水係数分布を定め,地盤全体の透水係数を評価した.この結果,従来どおり採取試料の透水性の頻度分布で評価するよりも地盤の透水性を精度良く評価できることがわかった.
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