抄録
本論では,地盤内の材料強度の深度方向分布,さらに地震動の増幅を考慮した簡易な斜面や盛土の永久変形解析の提案を行った.提案手法は,多層構造を有する地盤へ適用できるように対数らせんの組み合わせによる複合すべり面をすべり面形状とし,地震動の増幅を考慮して臨界すべり面と降伏震度係数を評価する手法と地震動の増幅を考慮したNewmark法を組み合わせた方法である.Newmark法は,すべり土塊の剛体仮定が成り立つ範囲内でエネルギー保存則が成り立つこと明らかにした.また,2003年宮城県北部地震により被災した鳴瀬川木間塚周辺の河川堤防の法面崩壊の分析に提案手法を適用した結果,法面崩壊がすべり土塊の変形として評価できることが明らかとなった.