抄録
鋼矢板はこれまで河川・港湾などの護岸構造および仮設土留め壁などでの利用が主であった.近年では,仮設本設兼用などの発想を始めとして様々な構造物への適用開発が行われている.これらの適用範囲は多岐にわたり,その中では鋼矢板を従来とおり土留め壁として利用するに留まらず,更に鉛直荷重に対する支持力も要求されることがある.しかし現状,鋼矢板の支持力についての研究は十分になされていない.
本研究では,1)原位置鉛直載荷試験により鋼矢板の有する大きな支持力を実証し,更に2)模型載荷実験を行うとともにX線CTスキャナを用いて地盤内挙動を可視化することで鋼矢板の支持力特性を評価した.その結果,鋼矢板の形状とその支持力特性に関する重要な知見を得たので,これを報告する.