抄録
泥炭は,圧密係数が圧密圧力に強く依存しかつ高圧縮性を示すため,TerzaghiあるいはBarronの圧密理論の適用が難しい場合が多く,また,通常,せん断変形も無視できないほど発生する.本文の変形解析の対象は,この超軟弱な泥炭地盤上に真空圧密工法を適用して高盛土 · 急速施工(13.5m · 25cm/d)で築造された試験盛土である.圧密係数の圧密圧力依存性と幾何学的非線形性をも考慮した水-土連成弾塑性FEM により,不均質な泥炭地盤における初期条件および境界条件が複雑なこの試験盛土の変形挙動を,実務的に許容できる精度で予測可能であることを示している.また,施工過程を様々に変化させた一連の仮想解析を行い,最適な設計法についても考察を加えている.