抄録
我が国は急峻な山地が多く急傾斜地付近の土地利用が著しく進んでおり,加えて降水量が多いことから毎年多くの土砂災害が発生している.降雨に対する危険性の指標として,時間雨量と累積雨量を変数とする限界雨量曲線が提案されているが,地盤条件や地形にかかわらず一義的に定められている.本研究では,降雨時の斜面安全性の予測手法を確立するために,降雨の総雨量と時間雨量,地盤の透水性を入力変数とした2次元FEM解析を行い,入力変数と安全率をニューラルネットワークで非線形回帰することで,すべり安全率が1.0となる限界雨量曲線を定める手法を提案した.また,時間雨量が変動する降雨の非定常性が安全率に与える影響についても定量的に評価した.