抄録
地震の前後に観測される電磁波の発生は興味深いことと考えられており,古くから研究されてきた.しかしながら,その現象は極めて複雑であり,電磁波の発生原因を明快に説明することは現状では難しいとされている.本研究では従来あまり検討されていない,AM波に混在する電磁ノイズに着目することとし,日本各地に設置されているAM波帯の電磁ノイズ観測装置による,過去の観測データを調べ,地震前後の電磁ノイズ発生状況の検討を行った.その結果,地震の2週間から5週間前より電磁ノイズは通常より多くなり始め,地震の1,2週間前に最大値を迎えた後,減少し,地震を迎える事例が多いことを示した.