抄録
高粘性で揮発しにくい機械油で汚染された地盤に対する効果的な非掘削浄化技術は,現在のところ確立されていない.本研究では植物油を機械油に混合させることで連続した油相流れを形成し,回収位置まで水平方向に輸送する非掘削浄化技術を着想した.植物油を地中から圧入するケースと,地表面から重力浸透させるケースの2つの室内土槽実験を行ったところ,ともに植物油の浸透により土中の機械油が溶解しつつ押し流され,徐々に回収井戸へと流出する様子が観察できた.しかし,重力浸透のケースにおいて,植物油の下面に回収されにくい機械油の層ができることが課題となった.生分解性の界面活性剤を併用して簡易的な実験を行ったところ,この機械油の層が乳化され効率よく回収できる可能性が見出された.