2009 年 65 巻 4 号 p. 776-788
単一の不連続面を含む岩石を模擬した試料のせん断透水実験において,せん断応力-せん断変位曲線の比例限界点の前後で透水特性が変化するという結果に着目し,不連続面内の水の流れが表現できる解析手法と実験結果に対するメカニズムの考察を試みたものである.具体的には不連続面の表面の構造を再現した解析モデルにおいて,水を仮想粒子に置き換えて,粒子同士および不連続面の壁面との衝突・散乱を繰り返すという単純な計算によって水の流れを表現する格子ガスオートマトン法の適用を試み,本手法がNavier-Stokes方程式から導かれる流れを表現するものであることを平行平板モデルを用いて検討すると共に,当手法の解析結果に基づいて開口幅分布と不連続面内の水の流れの関係を論じる.