抄録
地盤内における土圧の三成分について,土圧挙動を把握するための計測システムを開発した.この計測システムの設置箇所は掘削現場近傍の調査用のボーリング孔などの削孔である.このシステムでは,削孔に油圧式の貫入装置を下ろし,所定の深度で地表面に平行な方向に開発した土圧計を貫入させる.受圧面の向きにより地盤内の土圧の鉛直成分や水平成分が計測できる.同一深度には一つの土圧計だけが貫入されるが,上下の移動によってそれぞれの成分の分布が把握できる.この手法は,工事の進行とともに変化する背面土圧の挙動に対して,設計や施工上の対策工を講じることができる.室内試験や理論的・実験的な解析から,この地盤内の土圧計測システムの実用性を確認した.また,実工事へ適用した実例を示すことによりこの計測システムの有効性を示した.