抄録
準天頂衛星システムは,天頂方向からGPS補完・補強信号を送信し,遮蔽物の多い都市部や山間部において衛星測位の利便性向上が期待される.中でも,補強信号の一つであるLEX信号は,電子基準点網によるGPS観測データから生成された補強情報を乗せて配信しており,日本全土でリアルタイムなセンチメータ級の測位が可能であるとされている.本検討では,LEX信号による補強効果が従来のセンチメータ級測位方式であるRTK測位に対してどの程度有効かを検討するため,複数の電波遮蔽環境においてLEXによる測位とRTK測位を同時に実施し測位率と測位精度の比較を行った.その結果,Fix解の取得条件については観測条件によって差が見られること,平均値を中心とした解のばらつきは同一の傾向が示された.