2015 年 71 巻 1 号 p. 30-42
下水道施設のGISデータ作成には,既成図数値化が行われている.既成図数値化は,紙面の台帳図を有効活用でき,GISデータを低コストで作成できるが,元の図面の地図情報レベルより高い精度を得られない.そもそも,図面が低精度の測量方式による可能性がある.筆者らは,今後のGISデータでは,地物間の整合が取れた高精度3Dデータが必要であると考え,4級基準点測量を実施して,地図情報レベル250の細部測量により地物の3D座標値を取得し,GISにより高精度3Dベクタデータを作成した.本研究で得たデータの位置精度の有効性を検証のため,細部測量成果と幾何補正した台帳図を重ね合わせ,両者のマンホール中心の座標値の較差を求めた.さらに,GISで3D表現することにより,管渠の土被りおよび勾配など地下空間を視覚的に把握することを可能にした.