2017 年 73 巻 1 号 p. 25-39
本研究は,新しい動的変位の計測方法として,GPSを用いた自己相対単独測位法を提案するものである.本方法は,GPSにおける精密測位法である干渉測位の特徴と精度を保持しつつ,一般の干渉測位において必須の基準点を必要とせず,単独測位のように一台の受信機で計測点の動的変位を測定できる点に特徴がある.本論文では,本方法の定式化を示し,その妥当性を検証するための基礎実験,受信機の開発とその性能評価,さらに,現場への適用性を検討するために実施した台風時の洋上桟橋の変位挙動計測結果について述べるものである.その結果,提案方法に基づき,一台の受信機を用いるGPS計測によって採用センサー計測可能周波数帯である2 Hz以下で振幅5 mm程度の変位振動を計測できることが明らかとなった.