2017 年 73 巻 2 号 p. I_365-I_371
近年多発する短時間集中豪雨により,郊外だけでなく都市部での内水氾濫被害も増加し,地下空間特有の浸水リスクが高まっている.降雨状況から予測される地下各所の浸水被害を,ユーザの居場所に合わせて知らせる手段が必要であるが,地下空間内では,既存のGPSによる位置情報サービスが機能しない.本研究ではレーザスキャン点群データを利用したマーカレスAR(Augmented Reality)による浸水リスクの可視化を提案する.点群データから生成した画像の自然特徴を介してユーザ端末カメラ位置を推定し,1人称視点で予測浸水深をAR表示する.本稿は,鉄道駅での実証実験により確認された提案手法の有効性について報告する.