2019 年 75 巻 2 号 p. I_40-I_47
我が国の道路の維持管理では,120万km以上ものストックの舗装の劣化状況を定期的に点検し,その結果に応じて修繕・補修している.通常,道路舗装点検では,目視点検や高精度な計測器のレーザ技術を用いた路面性状調査が実施されているものの,路面性状調査は調査費用が高額のため,財政事情から時宜に即した実施が困難なことも往々にしてある.
本研究では,道路管理者の財政負担軽減を念頭に置き,一般的に入手可能なカープローブデータを用いて舗装の劣化箇所候補を簡易診断にて絞込む「道路舗装点検の効率化手法」を考案した.神奈川県藤沢市を対象地域として,カープローブデータを入手・蓄積し,考案手法を試行した.移動計測車両(MMS)による路面性状調査相当の点検を実施し,その結果との比較検証により,考案手法の有用性を確認した.