2021 年 77 巻 1 号 p. 14-21
橋梁やトンネルなどの社会インフラの老朽化が問題になっている.既存の構造物を有効に活用するためには,その維持管理をいかに効率化し,高度化するかが重要な課題である.コンクリート構造物の劣化や破壊を引き起こす要因の一つであるひび割れは,構造物の点検において重要な指標であり,これらを効率的にかつ精度よく評価することが求められる.近年,画像処理技術や深層学習などの機械学習を用いて,ひび割れを評価する研究が行われている.筆者らは,これまでの研究で,目視によるひび割れ位置の指定と画像処理による抽出からなる半自動処理法を提案している.本論文では,ひび割れ発生位置の検出とひび割れ自動抽出の二つの問題に深層学習のモデルを適用し,コンクリート構造物のひび割れ抽出を効率的にかつ高精度に評価する方法を提案する.