土木学会論文集F4(建設マネジメント)
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特集号(論文)
CM方式等による発注者支援方策の導入効果の計測・評価手法の一提案
多田 寛宮武 一郎毛利 淳二安食 典彦笛田 俊治
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2011 年 67 巻 4 号 p. I_191-I_202

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抄録

 我が国では,公共調達において工事の品質確保や発注者の体制を補完する方策として,様々な取組みがなされており,その取組みとして,工事の施工状況の照合・確認・報告や契約の履行に必要な資料作成等を監督職員の指示に基づき実施する発注者支援業務や監督体制が不足する懸念がある場合等に関連工事との調整や事業の工程把握,関係機関との調整等,監督業務の一部を民間企業等に担わせる発注者支援型CM(コンストラクション・マネジメント)方式等,発注者・施工者・設計者以外の第三者による発注者に対する種々の支援方策(以下,「発注者支援方策」という.)の活用が議論されている.これら発注者支援方策については,これまでのフォローアップ調査を通じて様々な効果が把握されている.一方,それらの効果把握は,それぞれの発注者支援方策の業務全体を通じた包括的な効果把握に留まっており,業務受託者の業務項目ごとに発注者が何を期待し,その期待に対してどの程度の効果(成果)があったのかを把握するには至っていない.今後発注者支援方策をより効果的に活用するためには,導入目的に対して発注者が業務項目ごとに何を期待したのか,その期待に対してどのような効果(成果)があったのかを把握することが重要である.また,今後発注者支援方策を普及させていくためには,発注者の期待に対する効果(成果)だけでなく,国民に対する効果(価値の向上)を把握する必要がある.このような観点で見た場合,発注者支援方策に関する効果把握について,確立した方法が無い.このような背景を踏まえ,本研究では,今後の発注者支援方策の普及ならびにそれらの改善と適正運用に資することを目的として,我が国で適用された発注者支援型CM方式を事例とし,発注者支援方策の業務項目ごとの導入効果を計測・評価する一手法を提案するとともに,今後検討すべき課題と対応の方向性を整理した.

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© 2011 公益社団法人 土木学会
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