2011 年 67 巻 4 号 p. I_293-I_304
国土交通省においては,民間企業の技術力やノウハウの活用が期待できる設計・施工一括発注方式の試行を継続しており,平成17年度からは総合評価方式である高度技術提案型を導入するなど,入札・契約制度の改善に取り組んでいる.一方で,実際の試行工事における設計・施工一括発注方式による効果については,いくつかの報告事例があるものの,十分に周知されているとは言い難い状況であり,設計・施工一括発注方式の採用件数については,年々減少傾向にある.
本稿では,今後の設計・施工一括発注方式の拡大・促進に向け,改善方策検討のための基礎研究として実施した,事業プロセスと設計または技術提案の自由度の調査および試行工事のフォローアップ調査の結果と考察について述べる.対象とした工事内容は,シールド工法の共同溝トンネル工事と橋梁工事とし,工事内容による違い,工事目的物と仮設物の違いに焦点をあて整理,考察している.この結果,仮設物に工夫の余地がある工事内容については,設計を含めた技術提案を求めることにより,設計・施工の効果が得られ適していると考える.