2012 年 68 巻 4 号 p. I_181-I_192
平成17年,「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が制定された.以後,地方自治体において,総合評価方式の導入が進んでいるが,広域自治体の4割強は試行段階にあり,基礎自治体の本格的実施は,7%未満である.
本研究は,すべての広域自治体を対象に公共調達実施状況,第三者委員会の運営状況および基礎自治体に対する支援状況に関するアンケート調査を実施した.アンケートの分析結果,地方自治体において総合評価の実施の大きな隘路となっている制度的要件は,第三者委員会であることを明らかにできた.しかし,職員配置状況から,小規模な広域自治体ほど,運営の負担が大きいため,第三者委員会の開催にかかる事務的負担を軽減するような制度的運用を行うことが,技術評価を伴う総合評価の導入促進に効果的であると考える.