抄録
供用中の性能に着目した性能規定型契約方式を,インプット・ベースの積算体系を有する日本の公共調達に導入するには解決すべき法制度的課題が多い.本研究では,当該方式を構成する概念を性能規定,性能保証,包括化,連続化,長期化の5つと定義し,世界中の契約事例の事後評価を通じて当該方式の実施効果が多面的であることを指摘した上で,各効果と上記概念との関係を明らかにする.これらの概念を道路維持管理に導入することで,いかなる実施方式の下でも,管理者費用の縮減と利用者便益の増大を達成することが可能となる.道路維持管理のマネジメント・サイクルとして,業務手順の見直し機能を組み込んだPlan-Do-Check-Act cycleを提案する.業務手順の具体的な改善方策についても提案する.これらの提案は,当該方式の導入に不可欠な準備ともなる.