2013 年 69 巻 4 号 p. I_171-I_180
本稿では,低入札対策の実態と,その要因と影響を理解することを目的とし,国土交通省四国地方整備局発注の一般土木工事等級A及び等級Bの入札データを分析した.2008年度の低入札調査基準価格改定は,入札価格・落札価格に対してほとんど影響を及ぼしておらず,2009年度・2011年度の改定も実際の落札価格で,正の傾向は見られるものの有意な影響とまでは言い切れない.しかしながら,施工体制確認型総合評価方式に対応し,応札者が競争する中で生じる入札行動の変化を把握するために行った辞退・無効の発生確率の分析では,2009年度・2011年度の改定で,辞退・無効の生じる確率が共に有意に高くなっており,こうした結果を通じて落札価格引き上げのメカニズムが,今後働いていく可能性のあることが示された.